気分がのっている
開設するとテンションもあがるものだ。続けざまに書いてやろう。書評というか感想。
夏に読んだ本
『悪人』(映画になったやつ)→つまらん。ふざけるな!
『告白』(映画になったやつと勘違いして借りた町田なんとかのやつ)→展開がよくわからんけど、面白かったかなぁ。阿Q正伝にも似てるメッセージ性がある。要するに他人のせいばかりにして生きてると、破壊的な人生になるぞってことだろうな。ただ、そこまで虐殺せんでもええやろ・・・。自分も人のせいにすることが多い人間だから反省しつつも、共感できず。残念。
『先生はえらい』→名著。師弟とはかくあるべきもの、というのを上手く言えてるなあ。かねてより師弟っつーのには関心の深い私(わけあり)。張良のエピソードなんてのは「そうそう、そうなんだよ!」と膝を打った(嘘)。人間が成長するには、相手の中に計り知れない偉大さを勝手に妄想しなきゃいけない。まあ、それが本当の成長なのかというと別の話なんだけど。少なくとも、何か特定のつけたい力というか能力があるんなら、そういう風に相手を尊敬して見ることは大事よね。私も高校生のときはそうでした。今は…ひねくれてます(涙)
『ホームレス中学生』→いい話や。以上。いや、ホンマにいい話やなーって感じでして…。泣いたよ!でも、自分が評価できるようなもんじゃない。どんだけ苦労してるんって思って。ホームレスの子どもが地球上からおらんくなったらええな。そう思った。
『暴力に逆らって書く』(大江健三郎)→大江さんの物腰がなんやら傲慢なインテリに思えて、なんか信用ならん感じが受け付けん。それに比べてアマルティア=センの一流っぷりといったらもう。結局彼は人類のことを本気で考えとるんかがよくわからん。批判に弱そう。途中で読むのをやめる。
『残像』(三浦綾子)→塩狩峠を読んで少しファンに。クリスチャンの書く文学の王道って感じがいいです。価値観を押し付けない感じがいい。主題は、罪の意識と罰の意識という感じ。女性を自殺に追い込むというひどい罪を犯しといてまったく反省を見せない栄介。それをやたら自分の罪として意識してしまう弘子。ほんでやたら罰を与えたい治。最後に失踪する父。「それでも、生きてゆく」っていうドラマがすごく好きで見てたんですが(満島ひかりが好きなんです。それだけ。)、加害者家族と被害者家族ってのは、ボリュームのあるテーマだなって思う。僕らの生活の中じゃなかなか見えない部分だ。そこを描こうってのは、優しい人だなって思う。あのドラマも確かそうだったけど、最終的に両者は和解できないんだろうな。一生。
パレスチナとイスラエルにも似てる。アパルトヘイトも、黒人差別もそう。被害者と加害者が和解するなんて無理だ。有形無形の暴力にいきついて、感情はずっと行き場を失う。
それで、この本は、混乱で締めくくられる。そして死者は何も語らない。
被害者側が大人になるしかないんだよな。でも僕なんかはまだ「許す」ってのと「事なかれ主義」の違いがよくわかんないや。自分が我慢すれば問題も感情も薄まっていくって思ってるから。逆に、きちんと激昂できる人がすごいなぁって思う。でもこの本の治の怒りはいただけないけどね。あれはただのうっぷん晴らしだな。そうじゃなくて、怒るべき怒りって、人間としてとても大切な感情だなって思う。自分にはないもの、、じゃないかなって思う。
んでまぁ、そのうえでキリスト教の説く「許し」ってのは、やっぱりとても高貴な概念で、世界宗教になったのも納得できるっちゃできる。キリスト教嫌いだけど。
いや、ちょっち長くなったので今日はこの辺で。